出水市で新・ご当地グルメをプロデュースすることになった時、テーマはすぐに決まりました。鶏肉・鶏卵生産日本第2位という強い事実があったからです。すなわち、「鶏肉」と「鶏卵」を組み合わせた新しい「親子メニュー」を創り出せばよい、と。日本で親子メニューと言えば、「親子丼」と「オムライス」です。つまり、第3の「親子メニュー」を開発することが今回の仕事であり、ぼくは「親子カレー」という切り口で何か面白いものができないものかと考えました。この提案は、開発プロジェクトの参加メンバーにも受け入れられて、(仮称)「いずみ親子カレー」の商品開発がスタートしたのです。

 しかし、何回試食会をやっても、これだ!
というアイデアが出てこない。主役は鶏肉と鶏卵なのに、どうしてもカレー(ルウ)に負けてしまう。刻々とタイムリミットが迫る中、ある試食会の日に、いきなり、ぼくはこう宣言したのです。「カレーはやめにましょう」と。さすがに、ぼくの発言に対して一部ブーイングも発せられました。「あなたが言い出しっぺだったでしょう」。
ぼくは性格的に、歩きながら考えるタイプ。そして、誤解を恐れずに言えば、朝令暮改のタイプです。
これだ!(親子カレーだ!)と思い突っ走るのですが、これじゃダメだ!と思ったら、走る方向を平気で変えるところがある。「親子カレー」という切り口では売れる商品は完成しないと、肚を決めたのです。

 もちろん、どのように軌道修正するかは考えていました。親子の親、すなわち、鶏肉については、シンプルに自分で焼いてステーキで食べてもらう。親子の子、すなわち、鶏卵については、卵かけごはんで食べてもらう。この組み合わせなら、魅力的な新・親子メニューになると確信したのです。脱カレーで、再度企画会議を行いました。そうすると、メンバーの中から、ステーキや卵かけごはんのアイデアが出され、その後は、トントン拍子でメニュー内容が決まっていきました。

 雨降って地固まる、ではありませんが、「親子カレー」から「親子ステーキごはん」に方向性が変わって、チームの結束力が高まったように思います。地場産の食材に徹底的にこだわった、出水に来ないと食べられない「いずみ親子ステーキごはん」が、出水市の交流人口増加、地域活性化に少しでも役立つことができれば、このプロジェクトに関わる生産者も料理提供者もサポーターもとても光栄に感じることでしょう。「10年続いて一人前」という言葉を胸に、「いずみ親子ステーキごはん」が地域の方々、そして出水を訪れる人々に愛されることを願ってやみません。 
(談)
新・ご当地グルメプロデューサー
ヒロ中田
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